テレビ朝日の“ドン”は安倍首相とたびたび会食
新潮が、今週号の「『なぜ自社で報道できないのか』の疑問に答える」の中で、「セクハラに反発したりすれば、その女性記者が所属する社は財務省から嫌がらせをされて“特オチ”が待っている。そうなると同僚にも迷惑がかかります」(財務省を担当するデスク)と書いているように、特オチすれば地方の支局へ飛ばされることもあるからだが、一番の理由は、社が権力に盾突きたくないからである。
テレビ朝日の“ドン”といわれる早河洋会長と安倍首相が会食していることは、よく知られている。そこに、今回会見を開いた篠塚浩取締役報道局長や伊井忠義政治部長が同席しているのも目撃されているのである。
篠塚報道局長は共謀罪報道で現場に「政府の言い分も報道しろ」と圧力をかけまくっていたとも報じられている。
安倍はトランプとゴルフをしに訪米していたが、安倍の意を受けて、官邸筋から福田を辞任させろという強い圧力があり、麻生も福田擁護を断念したといわれる。
安倍は、帰国してからもセクハラ問題で野党から攻められるのを嫌ったのであろう。その情報は、テレビ朝日側もつかんだに違いない。そこで大急ぎで会見を開いた。
福田が新潮報道を全否定していた時点で、テレビ朝日側がこのことを公表していれば、ジャーナリズムを一応掲げる社としての体面は保てたはずだが、遅すぎたといわねばなるまい。
なぜ文春ではなく新潮へこのネタを持ち込んだのか
ところで、なぜ彼女は文春ではなく新潮へこのネタを持ち込んだのだろう。
新潮に知り合いがいたとすればわかるが、そうでないとすれば、女性読者が半数を占めるという文春のほうが、セクハラには敏感だと思うのだが。
私なりに考えてみると新潮を選んだ理由は3つあると思う。
ひとつは、テレビ朝日は朝日新聞系列であるから、長年、朝日批判を売り物にしている文春は嫌だったのではないか。
また新潮は、しばらく前に元TBSワシントン支局長にレイプされたと顔と実名を出して訴えている伊藤詩織のことを大きく取り上げている。
いま一つは、この頃は安倍首相批判もやっている文春だが、先の元TBSワシントン支局長を最初に起用したのも文春だし、編集長も常々、安倍首相とは親しいと公言していたはずだから、情報が流れることを危惧したのではないか。
メディアの自浄作用が問われている
福田次官更迭で、麻生財務相の辞任も避けられなくなった。
トランプとの首脳会談で、何一つ土産を持って帰ることができなかった安倍首相を待つのは、さらなる支持率の低下と、党内からだんだん大きくなる反安倍の声である。
安倍政権の崩壊は、これまで安倍にすり寄っていたメディアの人間たちの罪状も浮き彫りにするはずだ。
安倍政権の「膿(うみ)」は、わずかなメディアを除いては、大きく広がり、異臭を放っている。安倍政権を倒すということは、膿を体全体に浴びてきた人間たちも排除するということである。
メディアがどこまで自浄作用があるのかが問われているのだ。