安倍政権が揺れている。森友学園との交渉に関する決裁文書の改竄、1年間存在が伏せられていた自衛隊イラク派遣時の日報、そして加計学園をめぐる「首相案件」というメモ。これではまるで「疑惑のデパート」だ。ジャーナリストの沙鴎一歩氏は「一連の問題は、『安倍1強』の負の落とし子だ」と指摘する――。
2018年3月29日、学校法人「森友学園」に関する財務省文書改ざん問題に関して同省の担当者(右側)からヒアリングを行う野党議員(左側)(写真=時事通信フォト)

財務省幹部が「口裏合わせ」を認めて陳謝

学校法人・森友学園への国有地払い下げをめぐり、ごみの撤去費用を名目に約8億円も値引きされていた問題が新たな局面を迎えた。

財務省の太田充理財局長が4月9日の参院決算委員会で、理財局職員が昨年2月に森友学園側にごみ撤去費の「口裏合わせ」を要求していたことを認め、陳謝したからだ。

この口裏合わせはNHKが先週、特ダネとして報じていたもので、朝日新聞の「森友文書改竄」と並ぶ大きなスクープだった。

国会は9日に参院決算委員会を日開いた後、11日には衆院予算委員会の集中審議を行った。安倍晋三首相も出席、3月末以来の本格論戦となり、安倍晋三首相はますます苦しい立場に追い込まれた。

今後、国会で追及される疑惑は次の3つだろう。

(1)森友学園への国有地売却と決裁文書改竄
(2)自衛隊イラク派遣部隊の日報問題
(3)東京労働局長の「是正勧告」発言

安倍政権はこの難局を泳ぎ切ることができるだろうか。

最初から「値引きありき」だったのでは?

4月9日の参院決算委員会。財務省の太田理財局長は、財務省の職員が森友側に口裏合わせを求めた疑いがあるとの報道について「理財局職員が『撤去費用が相当かかった、トラック何千台走ったといった言い方をしてはどうか』と話した」と説明した。

そのうえで「誤った対応だ。大変恥ずかしく、申し訳ない」と述べた。

理財局職員は、近畿財務局職員にも口裏合わせへの協力を求めたが、近畿財務局側が「事実に反する」と対応しなかったことも明らかにした。

それにしても霞が関で一番の権威を誇る財務省がここまでやるとは、開いた口がふさがらない。

なぜ、財務省は口裏合わせを森友学園に依頼したのか。最初から大幅な値引きありきだったのではないか。そこに安倍首相本人とその周辺は関わっていなかったのか。

財務省の決裁文書の書き換え、改竄など一連の森友学園問題で国民は安倍政権にだまされ続けている。国会は徹底的に解明してほしい。