なぜ櫻井よしこ氏は「いつまで森友問題」と書くのか

ところで4月2日付の産経新聞の1面を読むと、ジャーナリストの櫻井よしこ氏が「国際情勢が激変する中で、日本の政治家、政党はいつまで森友問題なのか」「今こそ、全政治家に問いたい。日米安保体制を強化するとともに、なぜ、日本国の自力を高めるべく憲法改正に向かわないのか、と。憲法改正で日本国の歴史に名を刻む栄誉を担うのが政治家だ」と強く訴えている。

「日米安保体制の強化」や「憲法改正」については沙鴎一歩も反対ではない。

ただ、この2つの大きな課題と森友学園の問題を同じ土俵で論じていいのだろうか。森友学園問題は「安倍1強」が生んだ負の落とし子だ。負の落とし子と、日本にとってきわめて重要な安保、憲法をいっしょに論じるべきではない。

なぜ、櫻井氏は「日本の政治家、政党はいつまで森友問題なのか」と書くのか。それは安倍政権の擁護が前提となっているからではないか。

安倍政権のすべてが問題だとは思わない。しかし安倍政権の負の面に目をつぶってはならない。政権の外側から、客観的に評価し、ときには厳しく批判してこそ、真のジャーナリストではないか。櫻井氏にはこのバランス感覚が欠けていると思う。

うそになればなるほど自信があふれてくる佐川氏

口裏合わせの問題では、朝日、読売、毎日の全国紙が10日付の社説で取り上げている。

朝日社説は「値引きの根拠が揺らぐ」との見出しを付け、その前半で「国有財産の管理を担う財務省が、取引相手にウソをつかせようとする。前代未聞である」と嘆く。

さらに朝日社説はこう指摘する。

「国会では、8億円分のごみの撤去には『ダンプカー4千台分』が必要だと野党が追及を強め、当時の佐川宣寿理財局長が『適切に行ったというのは、近畿財務局で確認している』などと答弁していた」

「口裏合わせを求めた理由について、太田氏は『(佐川氏の答弁と)整合性を取ろうとした』と述べたが、到底納得できるものではない」

あの佐川氏の答弁である。3月19日付のこの連載でも「佐川氏は“ウソ”のときほど断定口調になる」と批判したが、彼ほど自信を持ってうそを吐ける人物はいない。うそになればなるほどその自信があふれてくるからたいした人物である。彼こそ、“ミスター財務省”なのだろう。

朝日社説は太田理財局長の答弁に「到底納得できない」と指摘しているが、佐川氏の答弁と整合性を取るためにはうそを並べたてても問題ないのか。国会を、いや国民を侮辱している。