証人喚問で真相を解明せよ
さらに毎日社説は「大阪地検特捜部による捜査の過程では、財務省近畿財務局職員が学園側の希望する金額に近づけるために『努力する』と両被告に答え、具体的に金額を示す音声データの存在が明らかになっている」と指摘する。
そのうえで「佐川宣寿(のぶひさ)・前財務省理財局長(現国税庁長官)は国会で『価格を提示したことはない』と答弁していたが、明らかに矛盾している」と批判する。
佐川氏は記録文書について「破棄した」とも国会で答弁している。7月から彼が徴税トップの国税庁長官に就任したことで現場の税務職員たちは「書類を破棄したといえば許されるのか」と納税者から反発を受け、税務業務に大きな問題が生じている。
来春には国税の一大行事の確定申告も始まるなか、国税当局は対応を検討していると聞く。
毎日社説は最後にこう訴える。
「疑惑の解明には、昭恵氏や佐川氏、さらに(ごみの量を推計した)国交省の幹部らの国会での証人喚問が必要だ」
これもその通りである。過去の事件を振り返ってみると、ロッキード事件やリクルート事件などの疑獄事件では真相の解明のために国会の場でこの証人喚問が実施されている。森友学園の事件も例外ではない。
お得意の皮肉が見られない朝日社説
11月23日付の朝日新聞の社説はこう主張する。
「政府には指摘に答える義務と責任がある。値引きの根拠と経緯を再調査するよう、安倍首相は関係省庁に命じるべきだ。国会も政府をたださねばならない。参院が検査を要請したことを忘れてはならない」
偽証罪に問われることもある、証人喚問を求める毎日社説に比べると、弱い。なぜなら再調査を命じるのは、首相として当然の義務だからだ。
会計検査院の検査に対し、「その検査も十分とは言えない」と訴え、「壁になったのは、財務省や国交省が関連文書を破棄していたことだ。検査院は『会計経理の妥当性について検証を十分に行えない状況』と指摘し、文書管理の改善を求めた。両省の責任は重い」と強調する。その通りだろう。
最後に朝日社説は「今度は、首相が疑問に答える番だ。検査が不十分な点は国会が解明に努める。それが国民に対する責務である」と主張するが、安倍嫌いな朝日にしては「今度は疑問に答える番だ」では弱いと思う。
いつものお得意のアイロニーはどこに消えたのか。そのあたりを楽しみに読んでいる沙鴎一歩として、とても残念である。