走っている間に脳がアイドリングして回路活性

一番の気づきは、1時間という「予算」の効用に関することだった。

10キロ走ると、それだけ広いエリアをカバーできる。今まで走ったことがない通り、行ったことのない場所を経由することができる。

すると、思わぬ発見や、気付きがあった。「セレンディピティ」(偶然の幸運)にもたくさん出合った。普段住んでいるエリアだけでなく、旅先でも10キロ走ることで、さまざまな出合いがあった。

走る距離を2倍、3倍にすると、出合いや発見も2倍、3倍になる。つまり、走る時間という「予算」を十分に確保することで、自分の成長がより深く、広いものになる。

これは、ランニングだけのことではないと思う。

例えば、英語の勉強を1日10分しかしていない人が、20分、30分に「予算」を広げるとする。すると、読むことができるテクストの範囲が広がるだろう。リスニングの教材も、多様で幅広いものを使うことができるようになるだろう。

忙しい中で、英語の勉強を30分やろうと決断することには、それなりの勇気が必要だろう。しかし、それだけの「予算」を用意したら、それを何に使おうといろいろと考え、計画する楽しみもできる。「予算」を大きく確保することで、想像力が膨らんでいく。

現代人は、メールやSNSなどの情報に翻弄され、時間がどうしても細切れになりがちである。そんな中で、まとまった活動の予定を立てることには、いろいろと困難があるだろう。

しかし、細切れの時間は、しょせん細切れの結果しかもたらさない。時には思い切って活動時間という「予算」を確保することが、学びの深掘り、出合いの充実につながる。

私は、これからも、10キロのランニングという「予算」を確保し続けようと思う。その中でどんなセレンディピティがあるか、今から楽しみである。

(写真=AFLO)
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