脳科学者の茂木健一郎さんは毎朝10キロのランニングを習慣にしている。茂木さんは「ランニングは、脳のバランスを取り、記憶や思考を整理し、精神のメンテナンスも行ってくれる。まさに理想の運動といえる」という――。
※本稿は、茂木健一郎『最強メンタルをつくる前頭葉トレーニング』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
この世のすべての情報を知ろうとする必要はない
戦争や大規模な自然災害などの非常事態時には、私たちは情報を求めてテレビや新聞、ネットにアクセスします。しかし、今回のコロナ禍のように長期化する場合、日々大量の情報を仕入れすぎて、メンタルがやられてしまうケースも続出しています。
テレビのワイドショーでコロナウイルスの恐ろしさを知り、ツイッターでさらなる情報の深掘りをする。極端な人だと、深夜ベッドにもぐり込んでもなお、スマホ画面を見つめながら詳細な情報を摂取し続けているようです。その結果、気分が滅入ってしまい体調を崩してしまう人も多いと聞きます。
自分にとって一番や二番目に興味があることは調べるが、それ以外はさっと目を通すくらいに留める。それくらいの感覚でいいのではないでしょうか。新聞の見出しは確認しながらも、すべての項目を厳密に知る必要はありません。
「情報の切り分け」を試してみよう
それでは情報が偏ってしまうのではないか、という意見もあるかもしれませんが、メンタルがやられてしまったら元も子もありません。
「私は小さな人間だから、世界で起こっているすべてを引き受けられるわけじゃない」
「私が関われるのはこの領域まで。そこにあることを一生懸命やるだけ」
このように、自分である程度のラインを引くのも、一つの考え方です。
提言したいのは「情報の遮断」ではなく、「情報の切り分け」です。世の中に溢れる情報のうち、「自分がコントロールできること」と「できないこと」を切り分けるのです。
コントロールできることにはベストを尽くす。でも、できないことは潔く諦める。これがストレスをなくす思考の整理法です。