ストレスコントロールのためのランニングのすすめ

そうは言っても、日々の情報の洪水に呑み込まれてストレス過多になってしまう人もいるでしょう。

私は朝、仕事に出かける前に近所の公園などのコースを10キロ走ることを、もう長いこと続けています。「なぜ、走るんですか?」。たまに真顔で尋ねられますが、そう聞かれても困ってしまいます。何しろ子どもの頃からずっと走ってきましたから。ランニングは私にとって、生活の一部なのです。

走っている人
写真=iStock.com/nazar_ab
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基本的に毎朝走っていますが、真面目になりすぎないよう、三日坊主を受け入れる「ゆるさ」をモットーにしてきたのが、結果的に長く続けられた秘訣かもしれません。

仕事柄出張が多いため、地方や海外など旅先でランニングする「旅ラン」もよくします。旅先ではいつもと違う景色や、自然、観光名所などを、一人楽しみながら走っています。

先ほど、子どもの頃からずっと走ってきたといいましたが、実は本格的に長距離を走り始めたのは、中年と呼ばれる年を過ぎてからです。私が初めてフルマラソンを(途中から歩かずに)完走したのが、2015年の東京マラソンですから、52歳の時です。決して早いスタートとはいえませんが、シューズさえあればいつでも始められる手軽さが、ランニングのいいところです。

定期的に走る人は認知症にもなりにくい

ある研究データによると、定期的に走っている人はストレスレベルが低く、認知症の発症率も低いそうです。脳科学的にみても、記憶が整理されて頭がすっきりして、発想力が高まるなどいいことだらけ。私自身、健康面でのベネフィットを感じています。

一つには身体的なメリットがあります。ランニングはウォーキング以上に、身体の新陳代謝を良くします。必要な物質を取り入れ、古くなった物質を外に排出する。新陳代謝が活発であればあるほど、メンタルも強くなります。

ただ、身体的なメリット以上に、精神的なアプローチでもかなりの効果があることがわかっています。それは無心になれるということです。

走っている時、皆さんは何を考えていますか?

走り始めこそ仕事の案件などを考えてしまうことがあっても、ある一定時間が経過すると、だんだんと「無心」になっていませんか?

これは、集中しているけれどリラックスしている「フロー状態」です。部屋に一人でこもっている時には、グチャグチャと出口のない悩みのスパイラルに落ち込んでしまっても、ひとたび外に出て走り始めてしばらくすれば、どんどんと脳は解放されていく。その意味では、走ることは、脳のなかの情報を整理し、ストレスを軽減する行為といえるでしょう。