※以下はビル・バーネット、デイヴ・エヴァンス『スタンフォード式 人生デザイン講座』(早川書房刊)より抜粋・再構成したものです。
人生を調整すれば理想に近づける
アメリカで行われた仕事に関する意識調査では、「社会人の3人に2人が仕事に不満をもっている」という結果が出ています。その不満が年々強くなってきたら、どうすればいいでしょう。今からまったく異なる仕事に転職する? 「人生はこんなもんだ」とあきらめる?
ここで提案するのは、そのどちらでもない選択肢です。筆者は、スタンフォード大学デザイン・プログラムのエグゼクティブ・ディレクターを務めています。筆者が創設したライフデザイン講座では、人生に行きづまりを感じる人々の悩みを解決してきました。いまや学内で1、2を争う人気講座になっています。
ライフデザインの目的は、人生の問題を発見・解決すること。とはいえ、人生を根本から変える必要はありません。現在の人生を調整すれば、理想に近づけることができるのです。そのためには、何が必要か? 今回は、自分にあった仕事を見つけ出す「グッドタイム日誌」という手法を紹介します。
「仕事は楽しくなくて当たり前」?
Aさん(34歳/男性)の職業は土木技師です。働き出してしばらくは順調だったものの、結婚をきっかけに別の会社に移ったところ、事態は急変。仕事がつらくてたまらなくなりました。「どうしてこうなってしまったんだろう」と思い悩みながら朝を迎える毎日です。
Aさんの友人は、「他人の下で働くのが不満なのでは?」と独立を勧め、義父はビジネス・スクールで学び直すことをアドバイスしました。Aさんも真剣に検討するものの、実は、自分が抱えている問題がよく見えていませんでした。
「僕は土木技師として失敗したのか。我慢していまの仕事をつづけるべきなのか。仕事は楽しくなくて当たり前なんだから……」
この考えは、どれも間違っています。
「人生に行きづまった」と思うとき、問題を見誤っていることがしばしばあります。その原因は、思い込みです。どんな種類の思い込みがあるかは拙著『スタンフォード式 人生デザイン講座』(早川書房)に詳しく記していますが、ここではAさんのケースを見ていきましょう。
Aさんは「土木技師として失敗した」と思い、「仕事は楽しくなくて当たり前」と言い聞かせようとしています。しかし、どちらも大間違いです。「楽しさ」は、自分に合った仕事を見つける大事な指針です。そもそも「失敗した」というのは、本当でしょうか?