漠とした不安。湧かぬ意欲。取れない疲れ……。そんな心の病巣を、外科医の捌くメスのように的確に探り当てるのは、古今の碩学の紡いだ英知の言葉。小説家・須藤靖貴氏に、その珠玉の数々を選び抜いていただいた。
大事な時間を
雑事で浪費するな。
――セネカ●古代ローマ・哲学者、劇作家
ローマ皇帝ネロの幼少時の家庭教師であり、長じてはそのブレーンとして活躍。「時間を活用すれば、人生は長い」「一生が短いのではなく、時間をムダに使うから短くなる」と説く。『生の短さについて』より。
脱皮できない
ヘビは滅びる。
――ニーチェ●独・哲学者
ニヒリズムの克服、「超人」思想で名高い哲学者。蛇の皮のように、絶えず古い考えを捨てて新しい思考を仕入れることを繰り返さないと、そのまま腐って死んだも同然となってしまう。
実際、人類の大半が
愚かであるということを考えれば、
広く受け入れられている意見は、
馬鹿げている可能性のほうが高い。
自制の効用は、列車における
ブレーキの効用に似ている。(中略)
正しい方向に進んでいる時は
害になるばかりだ(要約)。
――B.ラッセル●英・論理学者、哲学者
20世紀の英国を代表する思想家。多数派に呑まれて尻込みするのはもってのほか。かつ、自分を抑える習慣がつくと、エネルギーが心の摩擦としてムダ遣いされてしまう、という警告。