2006年に入社した梶浦さんはスーパーやディスカウントストアを担当した後、居酒屋の営業やビールの輸出の仕事を経て、16年4月からハイデイ日高の担当になった。
梶浦さん以前の6代の営業担当者もハイデイ日高の要望につぶさに耳を傾け、よきパートナーとして働いてきた。例えば生ビールを注ぐサーバー。
「ハイデイ日高さんから、誰が注いでも失敗しないし、ビールを注いでいる間に別の作業ができて効率的だと、それまでのレバータイプからボタンタイプにしたいとご要望がありました。サーバー価格としては高くなるのですが、生ビールがよく出るお店から徐々にレンタルで切り替えさせてもらいました」
現在は全店、ボタンタイプが設置され、店員によって泡の量が不安定だったり、ヘタな人はこぼしたりといったミスがなくなった。
ハイデイ日高の生ビールの売り上げは、店舗数の拡大によって前年比1.2%増で推移。それは同時にキリンビールの売り上げにも比例した効果をもたらす。ところが、既存店ベースで見ると逆に1.2%減。既存店もアルコール飲料全体の売り上げは伸びている。つまり、ビールからハイボールや酎ハイへのシフトが起きているのだ。
日高屋の各店にとってハイボールや酎ハイは利益率の高いアルコール飲料だ。だがいまだに生ビールの販売量はアルコール飲料全体の4割を占めるし、1杯の粗利はハイボールより高いので、生ビールが多く売れるにこしたことはない。
そのためにビール会社ができるのは、おいしい生ビールをできるだけフレッシュな状態で提供することに尽きる。
それに関して梶浦さんが2017年、力を注いできたのが日高屋の「クオリティ(品質)」「サービス」「クリンネス(清潔)」のいわゆるQSCに対する提案だ。
「ビールサーバーの洗浄の基準についてプレゼンしたり、ネットを使ったアンケートでサービスや料理の水準を調査し、それを報告させてもらったりしました」
梶浦さんより前の営業担当者の時代も同じことはやっていたが、よりフィードバックする姿勢を強くした。