もっと遠くまで、もっとフレッシュに

例えば梶浦さんは各店舗の洗浄状態をA、B、C、Dの4段階でランク付けし、改善ポイントをハイデイ日高に提示。それで評価の悪かった店舗は「どうしてそうなったのか」「どう改善していくのか」を改善報告書にまとめて本部に提出し、実際の改善に生かす。

よい商品と思っても市場ニーズに合わなければ売れない。真摯に市場に向き合い、市場の声に耳を傾ける。この営業の極意を梶浦さんは体現している。

(左)ハイデイ日高 取締役執行役員営業管理部長の渕上龍俊さん(右)ハイデイ日高 高橋均社長

今回、画期的だったのが、IoTを活用して明らかになったビールサーバーの使い方の改善だ。

評価が悪かった店舗で、ジョッキが一度に2つ置ける2口タイプのサーバーに、ビールの流れ方や洗浄の状態がわかるセンサーを取り付けて調べてみると、左右の注ぎ口のほとんど一方しか使われていなかったことが判明した。2つの注ぎ口には、別々の樽からチューブを通してビールが出てくる仕組みになっているので、あまり使われないほうの樽は空になるまでの時間が長くなりビールが劣化してしまう。

解決策としてサーバーの仕組みを少し変えることにした。一つの樽からチューブを2本出してそれぞれ注ぎ口につながるようにしたのだ。どちらの注ぎ口を使っても、同じ樽のビールが減っていくことになる。これならばビールの鮮度を保ちやすい。

真面目同士の会社の共同戦線。リニューアルしたばかりの一番搾りの生ビールをフレッシュに提供するための手筈は整いつつある。