▼キリンビール 布施孝之社長
飲みたかったのは地元の味「ビールの魅力を再発見!」

ビール類のマーケットが毎年少しずつ小さくなっているのは、お客様がビールに対してあまり魅力を感じていないからです。

当社はビールをもっと魅力のある飲み物にし、市場を活性化していくための3つの方向性を打ち出しています。

1つ目が今進めている「一番搾り」のフルリニューアルです。90年に麦汁をつくるときに最初に自然に流れ出た麦汁だけを使うという世界に類を見ない一番搾り製法で、一番搾りを世に送り出して以来ですから、実に30年近い時を経ての大改革となります。

(上)キリンビール 布施孝之社長(下)47種の味を展開し、2016年は270万ケースを売り上げた。

2つ目が、2016年からスタートした47都道府県の一番搾りです。これはお客様の「地元愛」に応えるビールです。このビールにはベースがあって、もともと全国にある9工場で「地元に合うビールはどんなものだろうか」と考え、開発したところ、お客様に大変よろこばれました。地元をよく知っている方たちに人の気質や食文化などを教えてもらいながらつくり上げました。

そして、もう一つがクラフトビール。今はまだ国内ビール市場の1%未満にすぎませんが、諸外国を見ると必ず拡大する市場です。つくり手の顔が見えたり、遊び心があったりという特徴があります。代官山に醸造所とレストランを併設した「スプリングバレーブルワリー東京」を出したところ、20代、30代のお客様があふれ、味わいを楽しんだり、料理とのマッチングを試したりしています。そういう嗜好の方たちに応えられるクラフトビール市場を21年までには3%くらいのマーケットにしたいと考えています。

 
(撮影=慎 芝賢)
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