自分・チーム・会社を磨き続ける

センゲはディシプリンを「自分の人生に一体化させて取り組む活動」と解説しています。日本では、剣道、柔道などの武術や、茶道、華道などの芸術において、「道」という言葉が使われますが、これがディシプリンに近い表現と言えるでしょう。

学習する組織をつくるということは、5つの終わりなき道を歩み続け、自分・チーム・会社を継続的に成長・進化させていく、不断の実践活動を意味するのです。

『「学習する組織」入門』は、センゲの名著『学習する組織』で示されたこのアプローチの基本を解説した入門書です。実践につなげていただくことを念頭に、事例と演習を多数掲載したハンドブックとなっています。

学習の効果を高めるには、自分なりの意図や目的、問いを持つことが大切です。たとえば、以下のような問いを頭の片隅において読んでいただくとよいでしょう。

・自分の組織は何のために存在するのだろうか。自分の組織は今から5年後、10年後に何をしているだろうか。
・自分の組織の生産性を高め、目的につながる成果を出し続けるために必要なことは何か。
・自分の組織に、目的の達成に必要な意識や能力は備わっているだろうか。
・永く成果を出し続ける組織にはどのような特徴があるのだろうか。
・自分の組織では永く成果を出し続けるために何をなすべきかを考え、実践しているか。
・自分の組織を「学習する組織」にするために、自分がすぐに始められることは何か。
・組織やチームのメンバーの力を引き出すリーダーになるには、どのような力を身につける必要があるだろうか。

気になる問いはありましたか? もちろん、あなた自身の問題意識がもっとも大切です。自分・チーム・会社の未来のために、あなたもこの「道」を歩み始めてはいかがでしょうか。

小田 理一郎(おだ・りいちろう)
コンサルタント。チェンジ・エージェント代表取締役。
オレゴン大学経営学修士(MBA)修了。多国籍企業経営を専攻し、米国企業で10年間、製品責任者・経営企画室長として組織横断での業務改革・組織変革に取り組む。2005年チェンジ・エージェント社を設立、人財・組織開発、CSR経営などのコンサルティングに従事し、システム横断で社会課題を解決するプロセスデザインやファシリテーションを展開する。デニス・メドウズ、ピーター・センゲ、アダム・カヘンら第一人者たちの薫陶を受け、組織学習協会(SoL) ジャパン代表、グローバルSoL理事などを務め、システム思考、ダイアログ、「学習する組織」などの普及推進を図っている。共著にシステム思考の入門書『なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか』など、共訳書にピーター・M・センゲ著『学習する組織』(英治出版)、ジョン・D・スターマン著『システム思考』(東洋経済新報社)、監訳書にアダム・カヘン著『社会変革のシナリオ・プランニング』(英治出版)、『行動探求――個人・チーム・組織の変容をもたらすリーダーシップ』(英治出版)。
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