経営者と社員の要望を合致させる

人を動かすということは、「何のために」するのかという問いかけから始まります。「何を求めているか」をはっきり示さないと、社員は動きようがありません。一方、企業の経営者が求めることは非常に明瞭で、それは成果です。

カルビー会長兼CEO 松本晃氏

スポーツチームならその団体は勝つことが目的だし、企業ならその組織は成果を出すことが目的です。私も株主から結果を出すことを求められているし、私もそれを社員に要求しているわけです。

この目的が明確でないと人を動かしても意味がありません。一方、社員が求めていることを理解することも大事です。要するに経営者の要望と社員の要望のマッチングがあって、初めて人は動くわけです。これは部長や課長と部下との間でも、相手にする人数は違うけれども、原理原則は変わらないと思います。

では社員は何を望んでいるか。私は3つあると思います。1つが豊かになること。お金だけでなく時間的にも、社会的にも豊かになりたいという望みです。次に仕事でワクワクすること。最後の1つが自分の成長です。これは私の仮説ですが、ほぼ正しいのではないかと思っています。あとは社員が成果を出せるようにできる限りの環境と制度を整え、会社の仕組み・文化を変えればいいのです。それだけのことで多くの人は動きます。ただし、理屈はやさしいけれど実行はやさしいとは申しません。