失敗を許容し、自発的な社員を育成する

カルビーは創業家が50年以上、経営してきた会社です。創業者はとても優秀な人でした。したがって何でも自分でやってしまうから下の者は動きません。下手に動いて間違えてしまうと、手間ばかりかかりますから。それでも創業者がいるうちは、それはそれでよかったのです。しかし、今はカリスマがいませんから、社員一人ひとりが自分で何でもやるのだという風土に変えていかなければいけません。

失敗してもいいからチャレンジしてみなさいと言うことが大切です。失敗には必ず理由があるからそこから学ぶ。社員が失敗をしてもそんなに簡単に会社は潰れません。そうしないと人は育ちません。

失敗を許し、挑戦を尊ぶ企業文化に変われば、自然と優秀な社員が増えていきます。

私はカルビーに来て2年目に組織横断的な28のプロジェクトをつくり、それぞれにリーダーを付けました。会社は学校と違うのでやらせてみなければ人材の真価がわかりません。

日本の会社は学歴で社員を見ることが多いのですが、仕事と学歴とは関連性が薄い。いろんなプロジェクトに挑戦させ、失敗する人のほうが多いのが現実ですが、中には成功する人が出てきます。そういう人材を引き上げろと言っています。

これはふだんやっている仕事とは関係のないプロジェクトでしたが、通常の組織においても自由度を高めました。今、本部長(執行役員)には自分たちの組織を自由につくらせています。会社の中に優秀な人材を見つけたら、自分のところへ「盗んでこい」と言っています。盗まれたほうが悪い(笑)。だから常時フリーエージェント状態です。

先ほどの28のプロジェクトの進行や成果は誰でも見られるようにしていますから、優秀な人間を盗むには格好の場になっています。私は20年前から「Ourbusiness is people business」と口にしてきました。私たちの仕事は人がいなかったら絶対にできません。自分の組織をよくするためにいつも優秀な人を探し、引き込んでいかなければ成果につながらないのです。