大切なのは「迷いから覚めて幻滅する」
「迷いを覚まして幻滅させることは大切です」とブリューワー氏。今の仮説では、後部帯状皮質と呼ばれる領域は、それ自体が何かを欲するわけではなく、何かあるものだけに集中しているときや、何かに巻き込まれたときだけ、私たちを突き動かすとされている。その何かを手放して別の興味を持つことで、執着していることから離れられるという。
そのためには、自分の習慣から得るものをよく観察し、深く理解すること。冷静にみることでむしろ興味がなくなり、自分の気持ちや行動を抑制する必要がなくなるという。これが「心穏やかになれる領域に入り込む」マインドフルネスの一面だ。まずは、次のように簡単にやってみよう。
1.リラックスして、ただ呼吸に集中すること。
(床に座ったり、椅子のままでもいい。)
2.何か雑念が浮かんできたら、慌てることなく呼吸への集中に意識を戻す。
(集中していない自分に気づければ、また集中の領域に戻っていける)
以上を10分程度おこなう。慣れないうちは、短くてもいい。
3.大切なのは、立ち止まる事。きちんと意識すること。そしてなぜそうなるか考えること。自分のしていることを客観的に観察し、思考を整理することだ。
そして時には、脳がぼんやりと静かな状態にあるときに働くデフォルト・モードネットワークと呼ばれる、脳のアイドリング状態を作ってやりたい。これで緊張がとけて、心が穏やかになり、自分のことを見つめ直す時間ができる。
喫煙や暴食でなくても、何かに飽きてメールをどうしてもチェックしたくなったら、あるいは仕事をサボろうとしたら……。穏やかな気持ちになって「なぜこうした習慣を繰り返してしまうのか」じっくり見つめることだ。
その源がはっきり見えてきたら、古い習慣を手放し、自分にとって好ましい習慣をつくっていけそうだ。
[脚注・参考資料]
Judson Brewer, A simple way to break a bad habit, TED Feb 2016