マインドフルネスで自分を客観的に観察

ブリューワー氏らは「マインドフルネスが、喫煙をやめるトレーニングになるか」を研究している。マインドフルネスとは、この連載でもご紹介した瞑想の一種。簡単に言うと目をとじて呼吸だけに意識を集中して、雑念を追い払うといった作業だ。マインドフルネスの効能としては、集中力が増し、創造性や幸福感、健康、リラックス感が高まり、もっと自分をコントロールできるようになるとされている。

米国MITのマインドフルネスセンター所長ジョン・カバットジン博士はマインドフルネスについて、「今という瞬間に、余計な考えを巡らせることなく、真剣に意識して注意を向けること」としている。

ブリューワー氏らはこのマインドフルネスを使って「意識を呼吸に集中させることで、喫煙をやめられるか」などを研究している。トレーニングでは、たとえば喫煙をやめたい人に「タバコを吸ったときに、その味や自分の様子がどんな風かを観察してみてください」とひと言添えて喫煙を促していく。

ある被験者は、頭の中では喫煙は体に悪いことはよくわかっていた。そこで自分が喫煙しているのをじっと観察してみたところ、実はタバコはすごくマズイものだと気づいたという。

「マインドフル・スモーキング。それは匂いがきついチーズのようだし、薬のような味がしました」

喫煙は体に悪いとただ頭の中でわかっている状態から、喫煙の魅力はなくなったことを知る。つまり、知識から知恵に変わり、自分の行動の迷いから覚めるようになる。これだけで、通常の喫煙セラピーの2倍は効果があるそうだ。

では、私たちができる具体的な方法をみていこう。