引き込むように“しゃべらナイト”!

水が流れるがごとく滑らかな話術に引き込まれて、「それからどうなる?」と話の先を聞きたくなることがある。内容が大切なのはもちろんながら、人が引き付けられるのは「伝え方」によるところが大きい。

松本和也(まつもと・かずや)
マツモトメソッド代表取締役。1967年、兵庫県生まれ。91年京都大学経済学部を卒業後、NHKに入局しアナウンサーとなる。2003年からは「英語でしゃべらナイト」を担当。その親しみやすいキャラクターでブレイク。2007年からは、2年連続で紅白歌合戦の総合司会を務めあげた。その後「のど自慢」の司会として全国を行脚したのち、2016年にNHKを退局。独立して現職。
マツモトメソッド
http://matsumotomethod.com/

「『えっ?』という内容を盛り込むこと。話に引き付ける極意はそこにあるんです」と松本和也さんは語る。

ご存知のとおり、松本さんはNHKのアナウンサー時代に「英語でしゃべらナイト」で人気に火がつき、「紅白歌合戦」や「のど自慢」など人気番組を司会進行してきた“しゃべりのプロ”。そして、現在はマツモトメソッド代表取締役として、ビジネスシーンで生かせるコミュニケーション術を音声面から指導している。

「話に引き込むためには、フレーズは短く、わかりやすく。イメージをつかみやすく伝えることです」

松本さんの伝え方は実にシンプルだ。メインのポイントを伝えてから、絵を書き足すように言葉でイメージを浮かばせる。

たとえば、大きないちょうの木をふたつの言い方で説明してみるとしよう。

1.大きくてすごく枝が広がった、きれいないちょうの木があります。
2.いちょうの木があります。大きな木です。すごく枝も広がって、きれいです。

イメージが湧くのはどちらだろうか。1では、何が大きくてきれいなのか最後までわからないため、話がボヤけてしまう。2なら、まず「何が主体か」パンッと耳に入って、いちょうの木のイメージが湧くだろう。そこに説明が加えられて、情景を浮かべやすい。つまりこの「2」が松本さん言う「短く・わかりやすい」表現の仕方だ。

松本さんによると、さらに大切なのは「話の順番で、相手の興味を引き付けること」だ。

では、つまらない話をおもしろく語るときのコツをみてみよう。これは、誰でも簡単に応用できる「パターン化」が可能だ。