入社3年以内に大きな差がつき、将来の道が分かれる時代になった。こんな時代だからこそ「きちんとしている」と、ミドルクラスだけでなく、エグゼクティブ、トップ層に評価されることの重要性が年々高まってきている。では、“きちんとしている”“できる社員”と言われるための最低限のポイントは何だろうか。エグゼクティブ、トップ層向け「スピーチコンサルタント」として活躍する元NHKキャスター17年のキャリアを持つ矢野香。「信頼を勝ち取る」話し方、行動の仕方を5回にわたってお届けする。

上司への報告は起承転結で話さない

ビジネス上の会話、特に上司への報告は、起承転結で話さないことです。起承転結は物語仕立てで話すときに使います。聞き手をハラハラ、ドキドキさせる構成です。学生のときは、飲み会や合コンで盛り上がる話し方、つまり、起承転結を使ったオチのある話し方が好まれたかもしれません。しかし、ビジネスでは起承転結ではまどろっこしい。時間がかかりすぎです。結論から話すことが重要です。

『「きちんとしている」と言われる「話し方」の教科書』(矢野 香著・プレジデント社)

結論から話す場合、さらに意識してもらいたいことがあります。それは、その結論がいい話なのか悪い話なのかを先に言うことです。たとえば、上司のところへ行ったら、「いい報告があります」、あるいは、「少し悪い報告なんですが」と、まずグッドニュースかバッドニュースか、いいか悪いかをまず言ってほしいのです。なぜなら、いいか悪いかを先に言ってもらえると、聞く側は、安心して聞いていいのか、深刻に聞くべきなのかがわかるからです。

これはまさに、ニュースでアナウンサーがやっていることです。「うれしいニュースが届きました」と始めたり、「続いては、難航を示している◯◯情勢です」と続けたりします。

起承転結に代わる報告の流れは、結論・本論・締めの3部構成です。

さらに、報告は1分以内に終えましょう。最初の15秒でいい話か悪い話かと結論を言い、残りの45秒で詳細を話すのです。1分程度の報告をしたなら、あとは質疑応答です。細かい内容は上司からの質問に答えていけばいいのです。

ここで実際の報告の場面で使えるサンプルを紹介しましょう。ぜひ参考にしてみてください。これは1分の報告の例文です。

・最初の15秒で、いい話か悪い話かを報告する

「悪い報告があります。先週A社から担当案件についてクレームを受けました。最終的に現在は、A社も納得してくださっています。詳細について、今からご報告してもよろしいですか?」

・残りの45秒で、詳細を話す

「クレーム内容は、A社の○○案件について××ということで、担当の田中様より先週の火曜日にお電話をいただきました。対応として、その日のうちに私がA社にお伺いして、△△をしました。最終的にはA社も納得してくださいました。今回のトラブルは、■■が原因の1つではないかと考え、現在、今後の対策を立てているところです」

最初から詳細も含めて3分も5分もだらだら話されると、聞いているほうはイライラしてきます。報告は、1分以内で簡潔に、いい話か悪い話かを最初に言うことです。

[きちんと会話のルール]いい話なのか、悪い話なのかを先に言う

※本記事は書籍『「きちんとしている」と言われる「話し方」の教科書』(矢野 香著・プレジデント社)からの抜粋です。

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