「女性のわりによくやっている」
【建設】まさにうちでも今起きているよ。昇格会議では、本来なら同じ等級の中で優秀かどうかを見極めるが、「女性のわりによくやっている」という視点で選考しているきらいがある。その結果、本来昇格すべき男性が外れてしまう。すでに男性社員からは逆差別だという声も上がっているよ。
【食品】経営トップの意向で最年少の30歳過ぎの女性課長を誕生させた。でも部下を率いることのない専門課長なんだ。管理職に登用するにしても、ほとんどは部下なしの管理職だ。マネジメント経験がない、あるいはマネジメントができない人をさすがに部下を持つラインの管理職に就けられない。
【製薬】それは甘すぎるよ。日本企業の場合は「担当課長」という肩書で管理職をつくっているが、うちのような外資系は「なんちゃって管理職」なんてつくれない。グローバルで社員のポジションと処遇が管理されているので、そんな変な役職をつくることは許されない。
汗だくになり、化粧も崩れる
【IT】最大の問題は管理職になりたがらない女性が多いこと。子育てをきっちりやりながら昇進もしたいという女性もいるけど、そんな人はわずかしかいない。ほとんどが仕事はサポート役でいいので、昇進したくないという人。
【製薬】評価されて上のポジションに上がりたいという人もいれば、頼むからそこそこにしておいてよ、上がるなら辞めたいとまで言う人もいるよ。今までは休みが取りやすかったけど、たくさんの部下を引っ張る立場になると、自分と自分の家族以上に気にしなければならない範囲が一気に増えるので、その責任は負えないと。だから軽はずみに引き受けられない。昇進はノーとはっきり言う女性もいる。
【建設】うちはもっと大変だよ。入社したい女性の多くは建築設計やデザイン志望が多い。でもそうはいかないので建築現場にも配属しているが、ヘルメットを被って夏の暑い時期も外で仕事をしなければならない。汗だくになり、化粧も崩れる。それが嫌で「現場はやりたくない、配属先を変えてください、でなければ辞めます」と言う女性もいる。
【食品】うちも営業職の場合はもともとなりたいという人が少ない。去年200人の女性営業職にアンケートを実施したが、5年後にも営業の仕事を続けていきたいかを聞くと、8割の女性が嫌だと答えた。続けるなら辞めたいという結果だった。ましてや管理職なんてとんでもないという女性がほとんどだった。
【製薬】やはり長時間労働などハードワークも大きな原因の一つだ。私たちの顧客は医師だが、自分のスケジュールが医師や患者の状況しだいで決まってしまう。だから自分の都合が悪いとか、疲れたから休みますと言い訳もできない。そのプレッシャーに耐え続けるのはつらいという人もいる。現実に女性の営業マネジャーは1%もいないし、ロールモデルもいないのでマネジャーのイメージもできない。自分で勝手に営業は無理だ、マネジャーは無理だと勝手に決めつけているようなところもあるね。