弱いチームをどう立て直すか
みなさんにも経験があると思うけど、「ツラいことを言われたな」とか「なんでこんなこと言うんだろう」とか、そういう経験ってあるでしょう。同じ内容でも、言い方ひとつで受けとめ方が違ってくる。だったら、イヤな思いが胸に残るような言葉は使わないほうがいい。
ダメ出しなんて、誰がやっても同じで、「バカヤロー!」なんて、バカにだって言える。問題はネガティブな言葉を出し切ったあとで、選手の心をケアするために、どんな言葉をかけてやれるか。人間は感情の動物なんだから。
基本的に思ったことを言うようにしているけど、言葉によって選手の力を引き出してあげないといけない。私は明るいだけじゃなく、こう見えて冷静に言葉を選んでいるんです(笑)。
弱いチームだったから、ダメだと思ったときも多かった。そういうとき、グズグズした思いを胸に溜めないで口に出してしまう。するとノビノビできた。このチームだからできたことなのかもしれない。1年目には「100敗する」って宣言した。自らの実力不足を認めたうえでチームを変えてやろうと。今思えばこの開き直りはとても大事なことだった。
絶好調かって?
実は監督に就任してから「絶好調」という言葉は封印している。チームで監督だけが絶好調でどうするんだ(笑)。あれはフィールドで活躍した選手が叫ぶための言葉だからね。(文中敬称略)
1954年1月6日、福島県生まれ。安積商(現・帝京安積)から駒大に進み、75年読売巨人軍入団。2004年アテネ五輪では病に倒れた長嶋監督の代行として指揮を執り銅メダルを獲得。12年より、現職。