外見を「邪視」してはいけない
奥さんや恋人をあまりほめるなという警告もその延長線上にある。
つまり、「美人だね」とほめると、嫉妬していると誤解される危険性があるからだ。まさか、「じゃ、あげるよ!」と妻をプレゼントしてくれることはないにしても、大小のわだかまりを残す可能性はある。
トルコをはじめとした中近東の雑貨屋をのぞくと、『ナザール・ボンジュウ』というお守りが売られている。青いガラスの中に白、水色、青色の着色で目玉が描かれたもので、観光客のお土産品の定番だ。
これは邪視から災いをはねのけるというお守りであり、イスラムの人々はこのお守りを軒下に吊るし、あるいはポケットにしのばせている。それほど「邪視」を恐れているということだ。
妻や恋人をほめたいのなら、「敬虔なイスラム教徒だね」、「やさしい女性だね」などと、あくまでも内面をほめること。間違っても、美人だ、スタイルがいいなどと、その外見に触れないほうが無難だ。
※本連載は書籍『面と向かっては聞きにくい イスラム教徒への99の大疑問』(佐々木 良昭 著)からの抜粋です。