マレーシアでの仕事は宗教との闘いだった

私はかつて、マレーシアで22年間にも及ぶ長期政権を築いたマハティール首相の経済アドバイザーを18年ほど務めたことがある。

マレーシアで22年間にも及ぶ長期政権を築いたマハティール元首相。(AP/AFLO=写真)

当時のマレーシアは今と同様、多民族・多宗教国家で宗教問題が常について回った。人口の60%以上を占める先住のマレー系と実質的にマレーシア経済を支配している中国系(約26%)、これにインド系(約8%)、その他、で構成される民族的・宗教的対立は根深く、私が初めてマレーシアを訪れた1970年代後半はイスラム原理主義が勢力を増して華僑の虐殺事件が起きるなど、社会の緊張が高まっていた。

マハティール首相はマレー系を優遇する「ブミプトラ政策」(70~90年)を導入して国民の格差是正に心を砕きながら、宗教対立に頭を悩ませていた。私は首相にこう進言した。