大震災と原発事故で激減した外国人観光客
「観光立国の実現」は、昨年6月に閣議決定した政府の新成長戦略のスローガンの一つだ。2010年に日本を訪れた外国人の数は約860万人。これを10年後の20年初めまでに2500万人、将来的には3000万人にまで増やそうという目標を掲げている。
しかし、3.11以降、外国人観光客の数は激減し、日本政府観光局の発表によれば3月の訪日外国人数は前年同月比50.3%減で過去最悪の落ち込み幅を記録。震災後の3月12~31日にフォーカスすれば73%減となり、ほとんど壊滅状態だ。
外国人観光客の中でも、世界中で存在感を高めているのはやはり購買力が高い中国人。溝畑宏・観光庁長官もトップセールスで北京を訪問するなど中国人観光客の回復に躍起になっている。
中国から日本への観光客数は年間約80万人。「観光立国で3000万人」という目標を掲げるなら、経済成長に伴って今後も拡大が予想される中国人観光客の取り込みは欠かせない。
中国政府は亡命防止のために団体旅行しか許していなかったが、ようやく09年7月から規制緩和によって個人旅行の制限が外された。今の中国は、ちょうど日本の団体旅行客がハワイに殺到した1970年代の第1期海外旅行ブームのような状況で、今後は個人旅行が加わって第2、第3の旅行ブームが押し寄せてくるだろう。
中国人に人気の地域は北海道で、12~3月の札幌のホテルはどこも中国人で満員だ。日本人が憧れのハワイでダイヤモンドヘッドを見て、海ではしゃぎまわるように、彼らは北海道の大自然を満喫、山が少ない中国ではあまり降らない雪と戯れ、雪祭りを愛でているのだ。