7. 競わせる
ほぼ同じ実力の人とチームを組ませる
「1軍から5軍までレベルの違う社員がいたとします。このとき各軍から社員を選んでチームを組ませるのは、人の心理がわかっていない証拠です。人は基本的に自分より優秀な人が嫌い。実力が違う者同士が組むと、デキない社員のほうがヘソを曲げて力を発揮しません。
運動会を思い出してください。自分より確実に足の速い人と同じ組になると、負けることが見えているので、まともに走る気にならなかったはずです。本気になって走るのは、ほぼ同じ実力の人と一緒になったときです。
ビジネスも同じで、1軍なら1軍、5軍なら5軍でチームを組ませたほうが、お互いに張り合っていい結果につながります。
実力が違う人を組ませると、優秀なほうがやる気をなくしてしまうケースもあります。とくに能力がない上司と優秀な部下の組み合わせは最悪です。わが社でも、部下がダメ上司に我慢できなくなって辞めてしまうケースがありました。チームを組んだり競わせるときは、同レベルの人同士で。これが鉄則です」(小山)
8. 比べさせる
絶対評価から相対評価へ転換させる
「人の不満というものは、主観的なものです。客観的に見れば恵まれている環境にいても、本人にとっては目の前の世界がすべて。だから、去年より待遇が少し下がっただけでも、不満のもとになります。そうした部下にいうことを聞かせるには、まわりと比べさせて、自分が恵まれていることを自覚させるしかない。つまり絶対評価から相対評価への転換です。
ところが普通の上司は、部下を囲い込もうとします。つねに手元に置いておいたほうがコントロールしやすいと考えているのかもしれませんが、実態は逆です。外の世界を見せないようにするから隣の芝生が青く見え、現状に不満を持つようになります。
部下に外を見せるといっても、強引に見せる必要はありません。囲い込みをやめれば、部下は自分で外に出ていきます。上司は部下の邪魔さえしなければいい。それだけで部下はついてくるようになりますよ」(岩本)
ドリームインキュベータ特別顧問。
慶應義塾大学大学院特任教授。1965年、和歌山県生まれ。東京大学工学部卒。UCLAで博士号取得。ノキアなどを経て現職。
武蔵野社長。
1948年、山梨県生まれ。東京経済大学卒。77年ベリーを設立、85年に武蔵野に入社し、89年から現職。450社以上の経営指導を手掛ける。