2. つるませない
一対一の信頼関係を築くことが大事
「上司にとって厄介なのは、つるんで不満をいう部下たちです。最初は小さな不満でも、仲間同士で愚痴をこぼしあうと、お互いにあおるような形になって不満がどんどんと膨らんでいきます。
ただ、ノキアに勤めていた時代は、そうした悩みと無縁でした。同社ではマネジャーに対して、勤務時間の半分は個室のドアを開けておく“オープンドアポリシー”を課していました。この狙いは、悩みを持った部下がいつでも上司に相談にいけること。自分の時間を工面することは大変でしたが、おかげで部下とのコミュニケーションが増え、一対一の信頼関係を築くことができました。
一対一で関係ができると、上司に不満を直接ぶつければいいので、わざわざ部下同士でつるまなくなります。そのぶん一人ひとりとしっかり向き合わなくてはいけませんが、みんなでこられるより対処しやすい。会社側の狙いはあくまでもコミュニケーションを円滑にすることだったと思いますが、結果としてずいぶん助かりました」(岩本)
3. お金で釣る
上司が自腹を切るからこそ社員は喜ぶ
「わが社では、社員にやってもらいたいことに対して手当をつけます。たとえば禁煙した社員には禁煙手当がつくし、社内の勉強会への参加もボーナスの査定に影響します。お金で釣るのは不純だという声もありますが、きれいごとをいって結果を悪くするのはダメな社長の典型といえます。結果が清ければ、動機は不純でいいのです。
ただ、お金の出し方については頭を使う必要があります。わが社では毎年、内定者に対してセールス研修を行っています。1回目はゼロでないかぎり成績不問ですが、2回目の研修は成績によって懇親会の店が変わります。成績が良ければ松坂牛で焼き肉、悪ければチェーン店の格安居酒屋です。
いずれにしても、会計のときに会社の名前で領収書をもらってはダメです。それは、経費で落ちることを内定者が知ると、ありがたみが半減するからです。上司が自腹を切るからこそ社員は喜ぶ。そこを履き違えてはいけません」(小山)