4. 不本意なフリをする
叱るときは電話や対面で
「多くの上司が悩んでいるのは、部下の叱り方でしょう。部下を傷つけないようにソフトに叱ると効果がないが、厳しすぎると離反を招きます。
私がいつも心がけていたのは、会社の制度を利用することでした。たとえば成績が悪いことを叱らなくてはいけない場合、『会社の評価制度がこうだから、評価はこうなる』と淡々と指摘します。客観的な基準を用いれば、個人的な好き嫌いと関係なく、不本意ながら叱らざるをえないということが伝わります。一方、褒めるときは、自分の言葉で評価したほうが部下も喜んでくれる。これを逆にする上司は、たとえ正しい評価をしていたとしても部下になかなか理解してもらえないでしょう。
叱るときは電話や対面で伝えることも意識していました。メールを使うと文章が残るため、叱られたほうは引きずりやすくなります。またメールの場合、叱り方に失敗するとパワハラの証拠としても使われる可能性もあります。叱るときは形に残さずにその場で終わらせて、逆に褒めるときは形に残して効果を持続させる。この使い分けが大事です。
私は普段は温厚なほうですが、納得がいかないことがあれば、相手が誰であろうとキレる傾向にあります。上司には何度も文句をいったし、外部の方と激しい口論になったこともありました。そのせいか、社内には『岩本を怒らせると危ない』という空気が漂っています。このおかげで、きつく叱らなくても部下は重く受け止めてくれるようになりました。いつも刀を振り回さずに、ここぞというときだけ切りつける。そうすれば普段は、抜かずの名刀で部下をコントロールできるのです」(岩本)