一橋大学大学院教授、GCAサヴィアン取締役 佐山展生氏が解説
ヤフーへの投資は、孫さんの先見の明に尽きる。あらゆる事業において、創業当初から黒字というケースはほとんどないが、普通の経営者はどうしても現時点だけを見て投資判断をしてしまう。
事業の本質がわかっている人は、種がまかれて芽が出たくらいのところで、どこまで成長するかを見越して投資する。皆がいいと思う投資案件は、一般的に割高にある傾向がある。経営者には周囲の意見に惑わされず、自分の頭で考えることが要求される。
ベンチャーへの投資と、既存の会社(事業)への投資は要求される経営手腕が全く違う。ベンチャー投資は、リスクは小さいが、先行きがまったく読めない。さらに成長の過程で利益を出していく会社にするスキルが必要である。
既存の事業への投資は、見通しはある程度立つものの値段が高い。さらに体質をブラッシュアップし、効率化するスキルが必要だ。この両方をうまく扱える経営者は稀有だが、孫さんにはそれができたのだ。
●正解【A】――現状の赤字を「いい赤字」と判断したら、反対を押し切ってでも投資
※本記事は2010年9月29日に開催された「ソフトバンクアカデミア」での孫正義氏の特別講演をもとに構成されております。設問文等で一部補筆・改変したものがあります。