個々のプロセスを見ていこう。環境分析(リサーチ)では、市場はどんな状態にあり、その中で自社はどのような状況に置かれているのかを明らかにして、マーケティング戦略策定の材料にする。環境分析に使うフレームワークの中でポピュラーなもののひとつがSWOT分析だ。社内外の状況を俯瞰するときに有効で、縦軸に「内部と外部」、横軸に「プラス要因とマイナス要因」を取ったマトリックスで考える。縦横の軸を組み合わせることで、自社の「強み」や「弱み」、外部環境の「機会」や「脅威」が浮かび上がってくる。
SWOT分析で外部環境を考えるときは3年先まで予測したほうがいい。すでにわかっている機会や脅威に基づいて戦略を立てるだけでは、対応が後手に回ってしまうからだ。また、外部環境に「景気が悪い」というような一般論は含めないほうがいい。その一言で説明がすべて済んでしまうような強力な一般論は、戦略を考えるうえであまり参考にならないからだ。
以上を踏まえて凸凹食品が行ったSWOT分析がSTEP2の図だ。同社は技術力や食材調達力は優れていたものの、それらを商品開発に生かせず、主力のインスタントラーメンは没個性で企業イメージも希薄だった。一方、外部環境については安売り競争の激化など厳しい状況が予想されたが、グルメ志向や健康志向の高まりといった明るい材料もあった。SWOT分析では、強みと機会を生かして、弱みと脅威を克服することが基本戦略になる。同社は「高級化」を軸にマーケティング戦略を練っていくことにした。
環境分析のフレームワークはほかに、競争環境を明確にする「5フォース分析」、マクロ環境を分析する「PEST分析」、社内環境を整理する「マッキンゼーの7S」などがある(図2)。目的に応じて、組み合わせて活用したい。