人間に限界はあるのか。元米国海軍特殊部隊員(ネイビーシールズ)のデイビッド・ゴギンズ氏による『CAN’T HURT ME』(サンマーク出版)より、本人が経験した壮絶なダイエットの一部を紹介する――。(第1回)
彼は全力疾走しています
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海軍を志望する俺が気付いた「人間の本当の限界」

ゴギンズは、人生のどん底、自分を変えたくて米海軍・シールズを志望する。そこで「135kgある体重を3ヶ月以内に48kg減量するように」厳命される。しかし、初めてのランニングでは400メートル持たず、挫折。その後、自宅で見たのは、何度も奮い立った映画『ロッキー』のビデオだった――。

俺はビデオを消して、自分の人生について考えた。何の目的も、情熱もない人生。でも俺は自分に言い聞かせた。もし今恐れや劣等感に屈したら、その感情に振り回されたまま一生を終えることになる。それでいいのか?

残された道はただ一つ、俺を打ちのめすネガティブな感情を原動力に変えて、立ち上がることだ。それを、俺は実行した。

シェイクをゴミ箱に投げ捨て、靴ひもを締め直し、もう一度通りへ出た。さっきは4分の1マイル(400メートル)で脚と肺に鋭い痛みを感じ、動悸がひどくなって立ち止まった。今度も同じ痛みを感じ、心臓はオーバーヒートしたエンジンみたいにドクドクした。でも俺はそのまま走り続けた。そのうちに痛みは消えた。そして、かがんで息を整えた時には1マイル(1.6キロ)走ってたんだ。

その時、初めて気がついた。俺の心身の限界は「本当の限界」とは限らない、とね。それに、早くあきらめすぎるクセがついていることもわかった。

不可能をやってのけるには、勇気と力を最後の1滴まで振り絞らないといけない。つまり、数時間、数日間、数週間ノンストップの苦しみに耐え続けるってことだ。生きるか死ぬかの瀬戸際まで自分を追い込むってことだ。死んでしまう可能性を現実のものとして受け入れるってことだ。

だからどんなに心臓が早鐘を打っても、どんなに痛みを感じても、やめるつもりはなかった。ただ、俺には何の戦闘計画も、何の青写真もなかった。そこで一からやり方を考えた。