世界各国では上がり続けている「平均賃金」。しかし、この25年間、日本の賃金はほぼ横ばいとなっています。。賃金は労働市場の需要と供給のバランスに左右され、労働生産性とも大きく関わる指標です。今後の日本経済の動向を読み解くのに最も重要だと言われる「賃金」について説明していきます。

各種の経済指標を見れば日本の経済状況は悪くない

我々経済学者はよく政府の月例経済報告を参照しますが、2023年1~3月期期の実質GDPは1.6%増で、3四半期ぶりのプラスになりました。なぜ良くなっているかというと、消費が伸びているのです。

コロナ禍からの回復によって、外食産業や旅行産業などのサービス関連が伸びており、また、自動車の販売も伸びています。コロナ禍で半導体の供給が滞ることがありましたが、今はそれも解消しています。

(構成=大竹聡 図版作成=佐藤香奈 撮影=大沢尚芳)