年齢を重ねても健康的に過ごすには、どんな栄養が必要か。お茶の水女子大学大学院教授で医師の飯田薫子さんは「以前は、エネルギーにも体を構成する成分にもならない“食べ物のカス”と考えられ厄介者の扱いだったが、便秘患者や大腸炎患者の有効性や大腸がんの予防効果がわかると、急速に注目されるようになった成分がある」という――。
※本稿は、飯田薫子『70歳からの本当の健康を手に入れる すごい栄養学』(宝島社)の一部を再編集したものです。
体の組織を丈夫にして健康な体を維持するビタミンの力
五大栄養素の一つに数えられている「ビタミン」。全部で13種類あり、水に溶けやすい水溶性ビタミンと油に溶けやすい脂溶性ビタミンに分けられます。
水溶性ビタミンはビタミンB群(ビタミンB1・B2・B6・B12、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、ビオチン)とビタミンCの9種類です。脂溶性ビタミンはビタミンA・D・E・Kの4種類。ビタミンD以外は体内ではつくることができないため、食べ物で補給することが必要です。
各ビタミンはそれぞれ異なる役割をもっています。その役割の一つが、エネルギー産生のサポートです。自動車はエンジンでガソリンを燃やし、そのエネルギーで走っています。
エンジンがスムーズに動くためにはエンジンオイル(潤滑油)が欠かせません。人間の場合は、細胞の一つ一つにエネルギーを生み出すクエン酸回路(TCA回路)という仕組みが備わっています。
クエン酸回路は糖質や脂質、ときにはたんぱく質を燃料としてエネルギーをつくり出すために常に回り続けています。このクエン酸回路の潤滑油の働きをしているのがビタミンB群で、不足すると、クエン酸回路がスムーズに回らなくなってエネルギーをつくることができなくなり疲れやすくなります。
ビタミンには、体の組織を丈夫にして健康な体を維持する役割もあります。
たとえば「骨」の健康維持に関しては、ビタミンDが、骨の材料であるカルシウムが腸で吸収されるのを助け、ビタミンCが、骨の土台となるコラーゲンの合成をサポート。ビタミンKは骨の土台にカルシウムが沈着するのを助けます。
またビタミンAは目や粘膜の機能維持に重要です。

