「力のポーズ」が自信をもたらす

たとえば、動物はより体を開き、大きく見せ、空間の占有率を広げることで力を示すことがある。人間も同様に、体を開き、大きく見せる、あるいは自信がある“フリ”をするだけで力を示すことができるばかりでなく、自分自身にも力がみなぎってくるという。カディ氏が提案する「力のポーズ」とは、たとえばこんな風だった。

1. 両肩幅に開いた手を机に置き、肩も足も開いて立つ。
2. 腰に手を当てて肩を開き、足も開く
3. 体をそらせ気味にし、頭の後ろに手を組み、両肘を開く。
4. 両足を開いて反り返り気味に座り、手も横の椅子に置くなどして開く……など。

リーダー的な立場や力のある人(高い地位や立場、強い気概の人など)は、より自信を持ち断定的で、楽天的な傾向がみられる。しかも物事を抽象的にとらえることで動きやすくなり、上記のように体を開き動作も大きくなっていく。こうした人たちの脳内物質を調べると、とくに支配性のホルモンであるテストロンがより多く出ており、ストレスのホルモンであるコルチゾールは少ないそうだ。

逆に「力のないポーズ」とは、たとえば腕を組む、足を閉じる、うつむき加減に座る……など、とにかく体を守るように縮こまるもの。「力のないポーズ」をすると、自信がなくなり、細かく考えてしまう傾向がみられ、それに従ってストレス・ホルモンが高くなっていく。

「力のポーズ」を2分間とって、ギャンブルを勧めてみると88%が賭けに出たのに対し、「力のないポーズ」をした人は60%にとどまっている。採取した唾液からも、支配性ホルモンのテストロンが前者は20%増加し、後者は10%減少という結果になった。

ここから、ボディランゲージは人に与える自分の印象を左右するだけでなく、私たち自身がどう考え、どう感じるかを制御するためにも有効に働くことがわかるだろう。では、具体的にボディランゲージをどのように活用すればいいのだろうか。