ゆうパックの配達は一体どうなる?
物流業界の恥さらしだと思う。
配達員に対して飲酒の有無などを確認する法定点呼を実施していなかったことが明らかになり、国土交通省からトラック2500台に対する事業許可取消処分を受ける日本郵便のことである。
SNSなどでは、この過去最大級の物流事業者に対する行政処分に対し、「郵便物が配送できない」「弊社がゆうパック廃止を検討している」といった声が上がっているが、日本郵便は公式にこういった声を全否定した。
だが今回の行政処分に伴い、物流業界、そして消費者への影響は必ず発生すると筆者は考えている。
先行する報道によると、日本郵便が保有している車両は以下のとおりである。
軽バン車両:約3万2000台
その他の自動二輪車等:約8万3000台
上記の他にも、多くの運送会社が日本郵便の下請けとして協力している。
「影響はない」と火消しに走る日本郵便
今回、事業許可取消となるのは、「最大積載量1トン以上の車両」であり、トラックが中心と考えられる。そのほぼ全車両となる2500台が5年間、商業貨物輸送業務への使用を法的に禁止される。報道によると、日本郵便は維持コストを削減するため、この2500台を売却する方向で検討しているとのことだ。
となると、「じゃあ、新たに車両を用意すればよいのでは?」と考える人もいるかもしれないが、一般貨物自動車運送事業許可の新規申請も禁止されるのでNGだ。
この「最大積載量1トン以上の車両」は、比較的大量に荷物を送る一部顧客への集荷や、地方における近距離の郵便局間の輸送の一部に使用しているとされる。これを理由として日本郵便は、「荷物に関する引受・輸送・配達に影響はない」としている。
また、日本郵便の千田哲也社長は、2025年4月23日に記者会見を開き、「絶対にオペレーションに影響が出ることはあってはならないと思っている。顧客のためにも、業務を維持することを最優先としたい」と述べた。
このように日本郵便は、基本的なスタンスとして行政処分が及ぼす物流業務への影響を否定している。
一方で、行政処分を下した側の中野洋昌国土交通大臣は、2025年6月6日の会見で、「まずは同社(日本郵便)において、(中略)物流サービスの提供等に支障が生じないように、全力を尽くしていただくことが必要です。そして、国土交通省としても、協力会社の確保等に関して、最大限の支援を行っていきたいと考えています」と述べ、行政処分によって生じる影響を案じている。


