高齢者の性欲とは、どう向き合えばいいか。医師の和田秀樹さんは「性的な体験が老化予防や若返りのために非常に大切なことは医学的にも証明されているが、高齢者の性はタブーとして扱われがちだ。人は高齢になればなるほど『性ホルモン』は『若々しさ』や『元気の秘訣』になる」という――。

※本稿は、和田秀樹『熟年からの性』(アートデイズ)の一部を再編集したものです。

妻の体を愛撫する男の手
写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz
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「年をとると性欲はなくなる」を覆す調査結果

人類未踏の超高齢社会を迎え、男性は約81歳、女性は約88歳にまで平均寿命は延び続けています。

また、健康寿命も延び、今や男女ともに70年を過ぎても健康で生活することができているということですから、セックスができる期間も延びていると考えるのは自然なことです。

一般的に「年をとると性欲はなくなる」と考えられがちですが、実際には高齢になっても性欲があることがいろいろな調査でも明らかになっています。

「日本性科学会」という専門家の団体が、2014年に行った「中高年セクシュアリティ調査」によると、「この1年間に性交渉をしたいと思ったことは、どれぐらいありましたか」という質問に対して、

・配偶者のいる男性のばあい……60代の78%、70代の81%が、「よくあった」、または「ときどきあった」「たまにあった」と回答
・配偶者のいる女性のばあい……60代で42%、70代で33%が、「あった」と回答
・60代から70代の単身者のばあい……男性で78%、女性で32%が、「あった」との回答

があったと発表しています。

また、内閣府が行った「平成8年度高齢者の健康に関する意識調査」によれば、全国の60歳以上の男女約3000人のうち、半数近くが高齢者の恋愛や結婚について「良いことだと思う」という回答が寄せられています。

こうした調査結果をみても、年をとっても性にたいする関心が高いことがわかりますね。