子育てのイライラを減らすにはどうしたらいいのか。『子どもの人生が変わる放課後時間の使い方』(講談社)を書いた島根太郎さんは「言うことを聞かないからと子供を叱るのはNG。子供が自発的に行動するようになる“100均アイテム”があるので試してほしい」という――。(第2回)
居間で母親に叱られた子ども
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“叱らなくていい環境”を作ってしまう

「叱る」という行為について、私たちはある逆説的な考え方を持っています。それは、「最も理想的なのは、叱らなくて済む環境を作ること」という考えです。その具体的な方法の一つが「セーフティトーク」です。これは問題が起きそうな場面の前に、子どもたち自身に考えてもらう声かけのこと。例えば、学童の子どもたちみんなで公共のバスを使って出かける前に、こんな質問をします。

「バスの中で、どんなことをしたら危ないと思う?」
「周りの人に迷惑をかけることって、どんなことかな?」

すると子どもたちは、実に的確な答えを返してくれます。

「走り回ったら危ない!」
「大声を出したら迷惑!」
「バスが止まるまで立ち上がらない!」

どれも合っていますから「そうだね」「よくわかったね」と承認する。すると、子どもたちが自分たちで出し合った答えを守ってくれます。もちろん、ちょっと元気が出すぎてしまう子も現れますが、そのときは友達同士で注意し合って場を収めてもくれるのです。

「答え」は子供に考えてもらう

結果的に大人が叱らなくてはいけない場面は激減します。ここでも大切なのは、子どもたち自身に考えさせ、答えを出してもらうこと。自分で言った約束だからこそ、守ろうとする意識が生まれるのです。

家庭で新しいおもちゃを買ったときには、こんなセーフティトークを投げかけてみましょう。

「これはどこで遊んだらいいかな?」
「気をつけることはある?」

ルールを一方的に押しつけるのではなく、子ども自身に考えてもらう。すると不思議なことに、危ない遊び方は減っていくのです。そして、いつもなら注意しなきゃいけないような行動を自ら我慢できたときは、すかさず褒めましょう。

「今、よく我慢できたね」
「約束を守れて、すごいね」

叱らないための環境作り。子どもたちにも損得勘定はあるもの。「こっちのほうが楽しく遊べる」という実感があれば、自然と良い行動を選ぶようになっていきます。もちろん、危ないことをしたとき、しそうになったときなど、叱ることは必要です。でも、その前にできることもたくさんあります。「こうしちゃダメ」という否定的な声かけを減らし、「どうしたらいいと思う?」という問いかけを増やしてみませんか?