数回程度でも解雇された判例が
プチ・セクハラがアウトになるのは、同じ相手に同じ嫌がらせを繰り返した場合に限らない。かつて外資系製薬会社に勤務する男性社員が、複数の女性社員に対してデートに誘ったり卑猥な内容のメールを送りつけるなどして訴えられ、解雇されたことがあった。男性はそれぞれの行為はわずか数回であり、重大なセクハラとはいえないと主張して解雇無効を訴えたが、結局は会社側の主張が認められ、解雇は有効とされた。
2007年の男女雇用機会均等法改正で、企業のセクハラ防止措置が義務化された。部下の女性がセクハラ被害を訴えてきたのに上司が改善を怠れば、会社も加害者として訴えられる恐れがある。
以前に比べて厳しくなっているとはいえ、まだまだ日本におけるセクハラの基準は甘く、訴訟になったとしても慰謝料の額は、多くの場合、数十万程度で欧米に比べて少ない。しかし、訴えられた場合の社会的なダメージは大きく、自主退社せざるをえない状況に追い込まれる可能性は非常に強い。
まずは「これくらいなら平気だろう」という勝手な思い込みを捨てること。うっかりイエローカードになりそうな言動を取ってしまい、相手が怒ったり、訴訟をほのめかされた場合は、とにかく真摯に謝ることだ。周りが止めているのに繰り返したような場合は、情状酌量の余地すらなくなる。
(構成=村上 敬)