職場の人間関係を最適化するにはどうすればいいか。心理カウンセラーの大嶋信頼さんは「『いい人でありたい』という人を否定するつもりはないが、その考え方が、自分を息苦しくさせたり、裏目に出ることもある。いい人の仮面を着けたままで、虎視眈々とドライな人を目指すといい」という――。
※本稿は、大嶋信頼『最低限の人間関係で生きていく』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
ビジネスパーソンが「ドライな人」を目指して大丈夫なのか?
会社に勤めるビジネスパーソンであれば、「ウエットな人と関わらないとか、ドライな人になるなんて、所詮はムリな話だろう」と思うのではないでしょうか?
フリーランスの立場であれば、ドライになるのも自己責任でどうにでもできますが、会社勤めの身であれば、そんな身勝手なことはできない……と感じる人も多いと思います。
正直なところ、私もそうした懸念を持っていました。
あまりにもドライの度合いが過ぎると、「会社をクビになることだって、あるに違いない」と考えていましたが、実際には、その正反対の結果が出ていることで、心理カウンセラーとして、逆にビックリしています。
ある男性クライアントの体験談を紹介します。
人間関係に悩んで、ストレス過多の状態にあったビジネスパーソンが、三つのステップを実践して、ドライな人間になる……と決意したケースです。
この男性は、職場の人たちと明確に距離を置くことを意識して、上司や同僚に対する忖度もスッパリとやめました。
彼の急激な変化に、周囲の人たちも戸惑いの表情を見せていたといいます。
私が懸念したのは、その変化のスピードがあまりにも極端だったことです。
周囲の人たちに、「ドライな人間になる」と宣言する必要はありませんが、段階を踏んで、徐々に変わっていかなければ、職場で孤立する可能性があります。
最終的には、会社をクビになることだって、ありえるのではないか……と考えて、ヒヤヒヤしながら彼の動向を見守っていたのです。