死ぬまでボケずに生き続ける方法――。それは、「定年後も働き続けること」だと、医師の和田秀樹氏は言う。

定年後も働き続けると老人になってもボケにくい

人生100年時代と言われる今、65歳を過ぎても働かなければならなくなっています。しかしこれ、悲しむべきことではありません。働かなければならない、ではなく「働くことができる」と捉えるべきです。

企業は2025年の4月から希望する者に対して、65歳まで雇用し続ける環境を整備しなければいけなくなりました。それまで勤めていた会社での再雇用や雇用延長は当たり前の時代となっています。また、定年後の職探しについても、かなり広き門となっています。精神科医の私も、高齢者が働くことには大賛成です。なぜなら、ボケにくくなるからです。

仕事をやめて、自宅で過ごすだけの生活になると、脳の機能低下が進みます。もともと意欲が衰えやすい年代のため、それをきっかけにさらに物事への興味関心が薄れていきます。何事も億劫になり、他者との交流も減っていく。放置すると、やがて認知症を発症する。これを根本から「治療」してくれるのが「仕事」なのです。

可能であれば、定年前から準備を始めていただきたい。そうすることで、定年後の職探しにも広がりが出ます。いつまでも元気に働くためのトレーニングを始めましょう。

「老後うつ」を避ける
前頭葉の機能を維持するために絶対にやめてはいけないこと

人生100年時代。「定年したら悠々自適」の思考は古い。人生の4割を占める60歳以降をボケずに楽しく生きるためには、「老後うつ」にならないことが重要と、医師の和田秀樹氏は言う。

「かくあるべし型」の人はうつになりやすい

ボケを語る前に、ぜひとも頭に入れておいてもらいたいのが「老後うつ」です。これがもとで認知症が加速する人が実はかなりいます。うつうつとした気分が折り重なり、誰とも話さず部屋の中に閉じこもる。社会との接点が薄れて、コミュニケーションの機会を失い、脳の機能低下が進むのです。

加齢にともなって、人間の心身は確実に変化していきます。特に60代以降の人が気をつけなければならないのが、次に挙げる「3つの伏兵」です。

1つ目が「前頭葉の萎縮と意欲の低下」。2つ目は「ホルモンバランスの変化とその影響」。3つ目が「セロトニンの減少とうつのリスク」です。

加齢とともに脳も老化します。年を取ると記憶力が落ちてくるのは自覚しやすいので、記憶に関連する海馬が最初に老化するのかと思われがちですが、そうではありません。もっとも老化が早いのは意欲や創造性を司る前頭葉なのです。

前頭葉の萎縮は40代くらいから始まります。そのために、意欲が低下し生活に活力を見出しにくくなる。老人が落ち着いて見えるのは、老成したからではなく、活力が落ちているからだとも言えるわけです。前頭葉の機能を維持するためには、新しいことへのチャレンジが手っ取り早い。知的な活動や、社会的なつながりを持つことが前頭葉の働きを維持することにつながります。