会社の成長を阻害するのはどのような人か。学びデザイン代表取締役の荒木博行さんは「自分の部署の人には慕われているが、他の部署を『あいつら』呼ばわりする人は危ない。出世しても会社全体を俯瞰できず、組織を破壊してしまう」という。元日本マイクロソフト業務執行役員の澤円さんとの対談をお届けする――。

※本稿は、マイナビ健康運営のYouTubeチャンネル「Bring.」の動画「組織のサイロ化(タコツボ化)現象を考える。顧客への影響、効果的な対策、リーダーシップの在り方…」の内容を抜粋し、再編集したものです。

大きな足と飛んでいく小さなビジネスマン
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企業の成長を阻害する「サイロ化現象」

【澤円】よく「タコツボ化」などと表現されますが、ビジネスや企業・組織における「サイロ化」についてのお考えをお聞かせください。

【荒木博行】サイロ化という言葉自体を知らない人は、案外多いかもしれません。そもそもサイロとは、穀物や飼料を貯蔵するための大型の貯蔵庫のことです。縦型の細いかたちをしていて、なかに入るとまわりの景色が見えなくなることから、ビジネスにおいて「縦割りの組織形態」を指していわれるようになりました。

【澤円】よくいえば部門間の独立性が保たれている。しかし、悪くいえば部門間の意思疎通がされていない状態ということですね。

組織内で分業が進みすぎると…

【荒木博行】組織内のさまざまな領域にプロフェッショナルがいても、せっかくの知見が連係されておらず、それらを統合的に考えられる人やチームもない状態です。

その意味では、サイロ化は「分業」の必然的な側面ともいえます。事業活動においては、特定の組織がすべての活動を行うことは難しいため、部門やチームを分けることで、それぞれが専門家集団となります。そして、最終的にモノやサービスとしてアウトプットするときは、それぞれの知見やプロダクトを統合するわけですが、分業が進むとその統合がうまくできなくなるのです。

例えば、仮に椅子をつくる場合、自分ひとりの会社であれば、企画・制作から営業・マーケティングまで、すべてひとりで行います。でも、椅子が売れて生産量が増えていくと、「柄の部分はAさん」「背の部分はBさん」「戦略を立てるのはCさん」「売るのはDさん」というように分業が欠かせません。

すると、それは合理的ではあるものの、場合によって、最終的にどのような椅子をどのように売るのかを誰も把握していない状態が生じることがあるのです。