600点であれば公式問題集を徹底的にやれば他の教材は必要ないと思いますが、関係代名詞や分詞がまったくわからない場合は文法の基礎を学ばないと設問の先読みや聞き取りにも支障が出ます。付属から上がった方やAO入試で大学受験の英語を勉強していない方にその傾向が強いように思います。お勧め本は安河内哲也氏の『安河内の<新>英語をはじめからていねいに』(東進ブックス)。入門編と完成編があるので、ぜひ両方やってください。
必要な単語数は基本的なものが1000語程度。あとは公式問題集をやりながらこれは重要だと思うものを、センテンスの中で覚えていくのが効率的です。ボキャブラリーがあやしいという人は、私の『1日1分レッスン! TOEIC Test』シリーズ(祥伝社)がお勧めです。たまに受験用教材を使って勉強する人がいますが、ビジネスに特化したTOEICとは出題される単語が違うので無駄になってしまいます。
仕事をしながら3カ月でやるには通勤時間と昼休みをうまく活用することです。また、余裕を見て半年や1年かけようなどとは考えないこと。準備期間が長くなればなるほどモチベーションの維持が難しくなって、途中で挫折する確率が高くなります。
3カ月で見事に600点を達成したら、ぜひそのまま続けて800点を目指してください。転職の武器にするなら必須のスコアです。
試験の点数がよくても、英語でビジネスができるわけではないというような批判も耳にします。しかしTOEICに出てくる文書や単語はビジネス現場で使え、決して非実用的な試験ではありません。英語力だけでなく、情報収集能力や記憶力、頭の良さなどを測るという意味もあるようです。仕事ができる人は要領よくスコアを上げられるもの。一定のスコアを取った後に、改めて実用英語を勉強すればいいのです。
中村澄子
同志社大学卒、エール大学でMBA取得。TOEIC教室を開催する傍ら、大手企業で講師も務める。