都心の新築マンションは価格が暴騰し普通のビジネスパーソンには手が届かなくなっている。住宅ジャーナリストの山下和之さんは「中古マンションの価格も上がっているが、場所を選べば手が届く。地下鉄の延伸など利便性の向上で資産価値が上がる可能性の高い地域が狙い目」という――。
東京メトロの看板
写真=iStock.com/Sergio Delle Vedove
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新築だけでなく中古マンション価格も上昇が続く

マンション価格の高騰がやまない。新築マンションだけではなく、中古マンションも上がり続けていて、東日本不動産流通機構によると、首都圏の中古マンションの2025年1月の成約価格は5147万円で、1m2単価は81.88万円。m2単価の前年同月比は2020年5月から57カ月連続で上がり続けている。実に5年近く上がり続けているわけで、上昇が始まる前の2020年4月のm2単価は50.88万円だったから、5年近くの間に60.9%も上がった計算だ。

これほど上がっているのだから、本来、居住目的でありながら、資産形成の一環として期待する人が多くなるのも当然のことかもしれない。特に、都心部ほど上昇率が高く、資産価値の大幅な向上が期待できる。先の東日本不動産流通機構のデータは首都圏全体の数値だが、人気の高い都心部ほど価格が高く、上昇率も高くなっている。

2025年1月の首都圏全体のm2単価の平均は81.88万円で、前年同月比の上昇率は7.8%だが、東京都だけでみるとm2単価は112.44万円で、前年同月比は12.1%になり、都心3区(千代田区、中央区、港区)だと219.06万円で、前年同月比は30.8%と格段に上昇率が高くなる。

港区の中古マンション価格は1年で約5割上昇

マンション情報サイトの「マンションレビュー」を運営するワンノブアカインドでは、定期的に全国市区町村中古マンション価格や騰落率(上昇率や下落率)のランキングを作成している。

その2024年12月の70m2換算価格の1年前との騰落率(上昇率)の上位20市区町村は図表1にある通りだ。

最も上昇率が高かったのは、東京都港区の47.87%だった。70m2換算価格が1億7251万円という超高額ながら、1年で5割近く上がっていることになる。こんなに高いマンションは、平均的な会社員では簡単には購入できないが、高額所得者や富裕層などが積極的に購入している。

庶民感覚では高すぎてとても手に負えないが、富裕層からみれば、高くても買っておけばさらに上がるということで、第一義的には居住用とはいいながら、投資的な感覚で買われているのではないだろうか。

【図表1】前年同月比上昇率上位20と70平方メートル換算価格
出典=ワンノブアカインド「マンションレビュー