2025年1月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト5をお送りします。キャリア部門の第5位は――。
キャリア部門では、兵庫県尼崎市にあるラーメン店「ぶたのほし」店主・髙田景敏さんの波乱万丈な人生を描いた川内イオさんの記事が1位に。最大19時間待ちの人気店に成長した背景には、髙田さんの壮絶な過去と努力がありました。続いて、仕事で役に立つスキル系の記事がランクイン。話し方に自信がない人が「雑談力」以外で改善すべきポイントを解説した記事が2位になりました。ベストセラー『人は話し方が9割』の著者・永松茂久さんは「どんな人とでもうまくやっていかなければいけない」という思い込みを手放すことが重要だと強調しています。3位は、相手に好印象を与える「断り方」の解説記事。筆者の芝山大補さんは、感謝や代替案を添えることで“悪い誤解”を避けられると指摘します。1~5位のランキングは以下の通りです。
▼第1位 3億円を株投資で失い、40歳で時給850円のバイト…人生に絶望した男性が「19時間待ちのラーメン店」を築くまで
▼第2位 「コミュ力が高い人」は必ずやっている…「話すのが苦手」という人に圧倒的に足りていない「雑談力」以外の要素
▼第3位 「予定があって無理です」よりも何倍も効果的…「今度も誘おう」と思ってもらえる愛され上手の"断り方"
▼第4位 観光客ゼロの商店街が激変…1泊2日20万円でも即完売「1部屋2.5畳の酒蔵ホテル」を築いた女性オーナーの奮闘
▼第5位 連休明けの「会社に行きたくない」は要注意…産業医が指摘「急性のメンタル不調」の放置で起きるリスク
※本稿は、薮野淳也『産業医が教える 会社の休み方』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
メンタル不調の代表格「適応障害」を甘く見てはいけない
「適応障害」はストレス反応として起こる“急性”のメンタル不調であって、クリニックで診ている患者さんは、皆さん、3カ月ほどで治療を卒業していきます。早い人であれば、1カ月や2カ月で良くなり、元の生活に戻ることができます。
ただし、何の対処もせずにいると、脳そのものが疲弊して他の精神疾患に移っていくこともあるので、軽んじてはいけません。病気ですから、やっぱり治療が必要なのです。その第一歩は、適切なタイミングで「休む」ということです。
適応障害になると、周りから見ても「ちょっとおかしいな」「何かいつもと違うな」と気づくところが出てきます。
元気がなさそう、イライラしてそう、疲れてそうといったことのほか、睡眠が乱れて朝決まった時間に起きられないために遅刻が増えたり、無断欠勤が増えたり、その反面、残業や休日出勤が不釣り合いに増えたり。また、髪型や服装などの見た目に「あれ?」という部分が出てくることもあります。
仕事のなかでは、ミスが目立つようになったり、報告や相談、職場での会話がなくなったり、返事が単調になったり、逆に多弁になったりという変化も、メンタル不調のサインの一つです。
社員が休むことは「権利」であり、企業にとっては「義務」
私は産業医として管理職の方を対象にメンタルヘルスケアセミナーをさせていただくことがあります。そういうときには「気づいて、聴いて、つなげてほしい」と、いつもお願いしています。
身近な上司の方は、メンタル不調を早期発見する要。部下の様子が「何かいつもと違う」と気づいて、それが業務に影響しているようでしたら、まずは本人からじっくり話を聴いて、人事や産業医につなげていただきたいのです。
適応障害の場合、ストレスから離れることが治療の第一歩であり、休むことが治療になる、と書きました。それでも、休むという選択肢をとることは勇気のいることだと思います。特に数日間の有給休暇ではなく、月単位の休職となるとためらう人は多いでしょう。
でも、働く人にとっては体調を整えるために休むことは「権利」であり、企業にとっては従業員の健康を守るために休ませることは「義務」なのです。