3点目は、シリコンバレーには反撃の戦略があるということです。DeepSeekに負けたので、猛烈なカネを使って巻き返すとか、追いつかねばならないという発想はありません。とにかくDeepSeekの技術はオープンなので、誰でも使っていいのです。ですから、各社とも猛烈なスピードで事業計画の書き換えに走っています。つまり、自分たちはDeepSeekに対抗するのではなく、その成果を取り込みながら、AIを実際に利用するインプリケーションの部分に資源を投入すればいい、各社はそのように戦略を組み替えつつあるのです。

そんな中で、アップル社の姿勢が注目されています。GAFAMの中でアップルはAI戦略に遅れを取っているとされてきました。自前のテクノロジは弱く、ChatGPTにかなりを依存する中で、iPhoneなどに搭載された「アップル・インテリジェンス」の評判はあまり良くありません。ですが、DeepSeekの登場により、遅れていたアップルも先行していた他社と「同じスタートライン」に立てたと言われています。28日のアップル株の上昇にはそうした見方が反映しているようです。

4点目はエヌビディアの戦略です。確かにDeepSeekの成功により、高性能GPUを必要としない形で高性能なAIが実現できることが証明されました。ですが、それはエヌビディアの将来が暗転したことにはなりません。DeepSeekのテクノロジーを利用すれば、簡単にAIの性能は確保できるわけで、その先のAIの利用にどんどん進むことができるわけです。そうなればAIによる高性能半導体の需要は落ち込むどころかかえって拡大する可能性はあるというわけです。

当記事は「ニューズウィーク日本版」(CCCメディアハウス)からの転載記事です。元記事はこちら
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