鳥取県鳥取市にある青翔開智中学校・高等学校は、2014年に開校した私立の中高一貫校。生徒自身が主体的に課題を設定し、その解決に向けて行う「探究学習」に力を入れた独自のカリキュラムが特徴で、なかには「大政奉還をメタバースで再現した授業」もある。なぜ鳥取に新しい学校を立ち上げたのか。校長の織⽥澤博樹さんと鳥取大学医学部附属病院の武中篤病院長との対談をお届けする――。

※本稿は、鳥取大学医学部附属病院広報誌『カニジル 18杯目』の一部を再編集したものです。

鳥取大学医学部附属病院の武中篤病院長(左)と⻘翔開智中学・⾼等学校 校⻑の織⽥澤博樹さん(右)
撮影=七咲友梨
鳥取大学医学部附属病院の武中篤病院長(左)と⻘翔開智中学・⾼等学校 校⻑の織⽥澤博樹さん(右)

なぜ「教育と無縁」なのに鳥取で私立学校を立ち上げたのか

【武中篤(鳥取大学医学部附属病院長)】プロフィールを拝見すると、この学校に関わる前は教育とは縁がなかったと理解しています。その織田澤さんが鳥取県で私立学校を立ち上げると聞いたとき、どんなふうに思いましたか?

【織⽥澤博樹(⻘翔開智中学・⾼等学校 校⻑)】面白そうだと思いました。そこで現在の中学、高校がどのような状況なのかまず調べました。ぼくの頃と社会状況はずいぶん変わっています。

学校教育もさぞかし進化していると思い込んでいたんです。ところが、そうではなかった。ぼくたちが面白い学校を作ったらインパクトあるんじゃないかと思いました。

【武中】インパクトというのが、「探究」を掲げた教育。教育目標には〈探究 好奇心+情熱 興味や問題点を自ら発見し、自発的・主体的に行動し、解決できる生徒を育てる〉と書いてあります。具体的にはどのようなカリキュラムを組んでおられるのですか?

【織⽥澤】中学1年から高校1年までは〈クリエイティブフェーズ〉〈アカデミックフェーズ〉として、こちらが出したテーマについてチームを組んで考えていく。

例えば中1では〈鳥取市に魅力的な○○を創ろう〉、高1では〈人口減少問題をテクノロジーで解決しよう〉といったふうです。高校2年生から〈パーソナルフェーズ〉に入り、個人テーマによる課題研究を始め、高3のときに1万字程度の論文にまとめます。