中堅中小企業の競争力強化を支援する
この仕組みを「グローバル調達支援サービス」として開始して早々、意外なところから声がかかった。「境港でやってもらえないだろうか」。新聞報道で知った鳥取県庁商工労働部の担当者だった。山陰地域に残る多くの1次サプライヤーへの支援を要請してきたのだ。そして、約1年の準備を経て生まれたのがトリニティーセンターだった。
「開設を決意したのは、私個人としては、恩返しの思いからでした。これまで日本のメーカーにずっとお世話になってきた。そのメーカーが今あえいでいる。今度は支援をする番だと。製品の受注から、必要な部品の発注・調達、決済、輸出にいたる業務をワンストップで請け負うわれわれの国際流通支援プラットフォームを使えば、余分な人手も、在庫も不要になります。固定費が変動費化し、コストが大幅に削減される。その分、メーカーにはものづくりに特化し、資源を投入して競争力を高め、新興国勢と戦ってもらう。地域を活性化し、強い日本の復活を支援する。それが1番の目的でした」(江頭)
「トリニティー」には、企業、地域、ヤマトの三位一体の連携の意味を込めた。まごころ宅急便の生活支援プラットフォームと同じ構図だ。
「日本の中堅中小企業が競争力を失えば、日本は滅びる。それは耐えられない」
ヤマトHD社長の木川眞はそう語る。ヤマトが持ち株会社へ移行した際、グループ経営の推進役として招かれる前、旧富士銀行およびみずほコーポレート銀行で長く金融の世界にいた木川には、日本経済への強い思い入れがあるのだろう。少子高齢化と並ぶもう1つの課題、国内産業の衰退を食い止め、競争力強化を支援する決意をこう話す。