日本は将来に向け、少子高齢化、空洞化による国内産業の衰退など大きな「困りごと」を抱えている。ヤマトホールディングスは、セールスドライバー6万人のネットワークを生かした新事業で、これらの「困りごと」に次々と立ち向かっている。

物流革命=北海道の毛ガニが翌日上海に届く

ヤマト運輸社長 
山内雅喜

1984年、ヤマト運輸入社。2004年、ヤマトホームコンビニエンス常務取締役事業戦略室長。07年ヤマトホールディングス執行役員。08年ヤマトロジスティクス社長。11年ヤマト運輸社長。

日本とアジアをつなぐ宅急便ネットワーク。それは日本においても大きな変化をもたらす。かつてヤマトホールディングス(HD)会長の瀬戸薫の下でクール宅急便の開発に携わったヤマト運輸社長の山内雅喜は、「北海道の毛ガニが翌日には上海で食べられるような物流革命が起きる」と、次のように語る。

「ヤマトグループは、沖縄の国際貨物基地『沖縄国際物流ハブ』を活用し、アジア圏への宅急便の翌日配達を今年度中に開始します。国内各地で集荷された荷物が深夜に那覇空港に届き、翌朝発ち、アジア各地に午後に配達される。アジアからの流れも同様です。今年秋には、羽田空港の近くにグループのあらゆる機能を結集した一大物流基地『羽田クロノゲート』も完成し、アジアと日本の結節点になります。アジア各地がまるで隣県のようになる。日本とアジアの顧客と顧客をドア・ツー・ドアでつなぐ一貫輸送のプラットフォームが構築されれば、劇的な物流革命や流通革命が起きるでしょう」

その「革命」は何を変えるのか。新興国で人気の日本の旬の食材の輸出を促進し、農水産業の活性化を間違いなく後押しすることだろう。さらに注目すべきは、製造業についても、同じ支援のスキームが描けることだ。生産拠点の海外シフトが進む中、日本に残る中堅中小メーカーの競争力強化に貢献できる。それを独自の視点で見いだした男がヤマトにいた。ヤマトパッキングサービス(以下、YPC)社長の江頭哲也だ。