認知機能の低下が表に現れる前に寿命が尽きた人

忍耐と集中力が求められる緻密な検査を繰り返すうち、スノウドン博士らは驚くばかりの脳の姿を見ることになりました。それは、生前に認知機能がしっかりと保たれていた修道女たちの脳でした。そのうちの一人であるシスター・バーナデットは、80代半ばで受けた数回の検査の成績はいずれも高得点で、知的能力に問題はなく、日常生活を送る上での介助も全く必要がありませんでした。

しかし、死後、脳を解剖してみると、「アルツハイマー病にかかっていたとしか言いようのない変化が脳では起こっていた」というのです。認知症に深く関与し記憶を司ることで知られる海馬と新皮質には、神経細胞の内部に異常な線維のからまりがたくさんできていました。そしてそれは、脳の広範囲にわたっていました。