死を身近に感じたら、どう向き合っていくといいか。がん研究会有明病院腫瘍精神科部長の清水研さんは「人口10万人あたり6例未満の希少ながんに罹った20歳の患者さんは、体力が回復すると、大学進学のために再び予備校に通い出した。しかし、大学に合格して社会人として生きていく未来が全く見えない、とつらそうに見えたので彼女の選択に個人的な意見を持って踏み込んだ」という――。
※本稿は、清水研『こころの傷つきをなかったことにしないでください』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
根治できる可能性は絶望的な希少ながん
加茂あかりさんは高校卒業後に予備校に通いだしたが、6月に激しい腹痛を自覚するようになり、病院を受診したところ、肝未分化胎児性肉腫という、「希少がん」と言われる中でも、非常にまれな病気であることがわかった。
希少がんとは、人口10万人あたり6例未満の「まれ」な「がん」を指す。乳がんや大腸がんなどの場合は、検索すればたくさん体験談を目にすることができるが、加茂さんは自分の病気について検索しても、そのような記事は皆無だった。
手術をしたが、その後再発して、化学療法を受けることになった。加茂さんは自分で医学情報にあたったそうだが、肝未分化胎児性肉腫が再発すると、根治に至ることができる可能性は絶望的な数字であったことを記憶している。
彼女は理屈的死生観という表現を使ったが、死んでしまえば何も感じなくなるので、このころは死ぬこともそれほど怖いとは感じなかったそうだ。

