死が日常に入り込んでくる

治療を始めたころは、同級生に置いていかれる焦りがあったが、再発した後は、そういう気持ちはなくなった。小児がんの病棟で治療を受けていると、いっしょに治療をしていた仲間が、気がつけばいなくなっていたりするなど、死が日常に入り込んでくる。

彼女が用いた「健康な世界にいる同級生たちとは違うんだ」という表現から、生死の厳しい現実と向き合っている自分は修羅場をくぐっているのだ、甘っちょろく生きている君たちとは違うんだというふうに、自らを肯定しようとするニュアンスを私は感じた。

肝未分化胎児性肉腫が再発した場合の治療成績は絶望的に感じたが、加茂さんには化学療法を受けないという選択はなく、ベルトコンベアに乗っているような感覚で治療を受けた。